2020-12-23 11:32
12月23日の隆宣寺日記
大人心【おとなごころ】という言葉があります。意味は「大人のように落ち着いた心」「世慣れた心」です。大人になれば、それなりの知識や経験があり、自分なりの価値観や信念も生まれてきます。そのお陰で、人生を上手く生きられるようになるのは、確かなことです。そういう意味においては、子供は知識も経験も乏しく、まだまだ未熟であると言えます。
ただ、そういう《大人心》《世慣れた心》が、かえって邪魔になることがあります。自分自身が教えてもらう立場であるのに、素直・正直に受け止めるべき場面なのに、自分の知識や経験を持ち出したり、自分の価値観や信念、それこそ趣味嗜好を持ち出して「ああでもない、こうでもない」と是非を論じてしまったり、耳を傾けることすらできなかったり。そう思うと、小さな子供が是も非もなく「はいっ!」と返事できるのは、恵まれていることなのです。
もはや、大人になってしまった私達は、小さな子供たちのような心にはなれないかもしれません。無意識のうちに頭の中でアレコレと考え、心は瞬時にして「是非」や「好き嫌い」を感じるでしょう。しかし、そういう一面を出さないようにする努力や、そういう意識を持つことはできるはずです。特に、仏教を信仰する時には、仏様の教え通りに「させていただく」ことが一番大切なこと。いわば「真っ直ぐな道を、真っ直ぐ歩んでいく」ということですが、これが簡単なようで、実に難しい。
仏教は至ってシンプルで、少しも難しくありませんし、結果はすぐに出ます。ただ、それを難しくさせているのが自分自身の「大人心」だということに気づくことが大切です。もし、自分の知識や経験だけで物事が全て上手くいくのなら、誰だって成功していますし、人生における様々な問題、災い、不幸を全て排除することができているはずです。ぜひ、お寺にお参りした時には「大人心」を捨てて、子供のような素直さで手を合わせてください♪